知らない世界へ飛ばされたらゴンという少年に助けられた訳だが。
第5章 キルアと全力疾走しよう!
『うっわ…マジで電気一つ点いてねぇのな。』
愛莉はキルアの服の裾を掴んでプルプルと震えている。
『だ…大丈夫かよ…』
『大丈夫…だよ…』
明らかに大丈夫そうじゃなかった。
長い廊下を歩き、お手洗いに到着した。
『こ、ここで待っててね…先に帰らないでね!
絶対にね!フリとかじゃないから!』
『はいはい』
今までになく饒舌な愛莉を見て、
笑いを堪え切れないキルアだった。
間もなくしてお手洗いから愛莉が出てきた。
『良かった…待っててくれたんだね』
『先に戻ってても良かった?』
『キ、キルア~…』
『冗談冗談♪』
また来た通り長い廊下を歩く二人。
『…!?』
『ど、どしたの、キルア』
『なんか後ろから足音っぽいのが聞こえた』
『え…』
そろりと後ろを振り返るがやはり
暗闇が広がっているだけだった。
『気のせいかな…』
再び歩みを進める二人。
すると今度は愛莉にも聞こえるくらいの
大きさの声が聞こえてきた。
『…!?』
『な…なんかいる!!なんかいる!!』
暗闇から地の底から響くような
低い男のような声が聞こえてきた。
『無理無理無理無理無理!!早く戻ろうキルア!!』
愛莉がキルアの手を引いて全速力で走り出す。
『わっ!お、落ち着けって!!』
キルアの声は聞こえていないようで愛莉は
そのまま全速力で廊下を駆け抜けて行った。