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6月合同企画【相合い傘】

第5章 ハイキュー‼︎/岩泉一


放課後、約束通り体育館でバレー部の見学をしていた。

やっぱり青葉城西は凄いな。
バレーのことは正直よくわからないけど、強いんだろうなということだけはわかる。



「岩泉ナイスキー!」



はじめはもちろん、及川くんも松川くんも花巻もとっても凄い。
力強くてしっかりしてて、3年生って感じだ。



「あれ、なんか急に暗くなってきたな…」



ふと外を見ると、空が曇っている。
今にも降り出しそうな感じだ。



「えー…今日はダメだって…」



そんな私の願いは届くことも無く、バレー部の練習が終わった頃には土砂降りになっていた。



「なんで…っ!」
「…こればっかりはしゃぁねえな」
「ていうか、天気予報見てこなかったの?」
「忘れてたよ…」



いつもはちゃんと見る天気予報。
どうして今日は忘れたんだろう。
そうだ、寝坊したんだ。
起きれなかった今朝の私を恨む。



「まぁいんじゃねーの。オレ傘持ってるし」
「私は持ってないよ…」
「だから、ほら」
「あー!岩ちゃんてば相合傘しようとしてる!やーらしっ!ぶぐぉっ」
「うるせーぞクソ川」
「ぶん殴らなくても!」



と思っていたけど、なんだ、結果オーライじゃん。



「じゃあ遠慮無くっ」
「おう」
「じゃあね、及川クン」
「あーハイハイ水溜まりに気をつけてねー」
「お気遣いどーも」



ちなみにさっきのお気遣いは嫌味が9割だろう。
だけど良いようにとっておく。
私の気分が良いから。



「はじめ偉いね、ちゃんと傘持って来てたんだ」
「おう。たまたま天気予報が目に入って」
「私がダメな時はじめが偉いよね」
「オレはいつでも偉い」
「嘘だぁ」



こんな風に近い距離でも新鮮さは無い。
だけど日に日に男らしさが増すはじめの横は、いつまで経ってもドキドキする。



「私って幸せ者だなー」
「なんだよ急に」
「だってこんなに優しくてカッコいい彼氏がいるんだもん」
「…あ、そ」
「あら、照れた?」
「うるせぇ」



付き合いたての時にした相合傘は、お互いが緊張しすぎて微妙な距離感のせいで肩がびしょ濡れになっていた。
だけど今はもうほとんど濡れることがない。

その事実が私を幸せだと思わせた。



「ったく、あんま茶化すと濡らすぞ」
「ぎゃっ、やめて!」



ああ、大好きだなぁ。





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