第7章 どろどろ(エルSaid)
今日は蒸し暑くてもう夏が近いことを知らせた。いや、夏というより梅雨時かもしれない。そんなで放課後の今、天気予報が外れて大雨が降っている。
外部活の連中は室内で筋トレだのしていた。それを避けていきながら昇降口まで来た。
大粒の雨が音と共にグラウンドを濡らしていく。
見事に傘を忘れた俺は帰れっこない。別に濡れて帰ってもいいのけど、大体そういう時はすぐに晴れて待っていなかったことの後悔を味わうことが多々ある。
少し待っているとすのこの音が響いた。振り返ってみるとロイが靴箱から靴を取り出してた。
「待ってたのか」
「止むのを待ってた」
「…今日の雨は結構強いし止みそうにないぞ。傘貸してやるから入れ」
一本しかない傘をロイは差し出した。それを受け取って傘を開いた。一般的なワンタッチ傘だった。
「確かに」
「止みそうになさそうかも」
もう一度空を見てみる。天井をつたった水滴が一滴右肩に落ちた。少し冷たかった。