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【合同企画】相合い傘

第4章 【オマケ】合同企画SSリレー『雨上がり』


朝から降り続く雨に溜め息を吐いて、分厚い雲で覆われた空を睨みつける。
ワンタッチ傘のボンっという音の後、一歩を踏み出すとパタパタと忙しなく傘を叩く音が響く。
久しぶりのデート。
別の学校へ通うが秀徳の最寄駅まで来てくれる事になっている。
(雨の日のデートって何処行きゃいいんだよ…。)
駅構内で雨を避けての到着を待っていると、背中に温かさを感じ細い腕が腰に回された。
「お疲れさま。」
コイツのちょっと甘えたな所。実を言うと嫌いじゃない。
「人が見てんぞ。」「知ってる。」「ムカつく。」「嘘つき。」
背中に抱きついたまま一向に顔を見せようとしない。
それに焦ったさを感じたオレは、強引に腕を引っ剥がすとの手をギュッと握って振り返った。
「…ったく。可愛い事してんじゃねーよ!…
「轢くぞ…でしょ?」
そこにはオレの好きな笑顔がある。オレがどんなに強い口調で言っても、物騒な言葉を吐いても、
コイツには全然利き目が無いから調子が狂う。
「ねぇ、清志君。今日はさプラネタリウムに行かない?」
「プラネタリウム?」
「そう。雨も…降ってるし…ね?」
は視線を空に移した。
傘を差す分だけ距離が遠くなる。だから雨の日はイヤなんだ。
プラネタリウムに到着する頃には雨脚は弱くなっていた。
館内の座席に着くと、直ぐにの手を繋いだ。
照明が落ち頭上に広がる数々の星。
星座に纏わるギリシャ神話が語られていく。
隣で星を見上げるの瞳がキラキラしていて、オレは星よりもの横顔に見惚れた。
外に出ると来た時の雨が嘘のように上がっていた。
「雨、止んでよかったね。」
「だな。傘の分だけ距離が出来て、手ぇ繋げねーのイヤだった。」
もう一度の手を握りなおすと俯き加減に照れ笑いをした。
空を覆っていた雲の切れ間から光が射す。
目に留まったのは花壇の赤い薔薇。
「綺麗だね。雨粒がキラキラしてて星みたい。」
薔薇の葉を転がる様にして雨粒が光を乱反射している。
「オレには…の瞳の方がよっぽど綺麗だけどな。
そんなキラキラした瞳で見つめられたら他のモンなんてくすんで見えるわ。」
太陽の光を反射して虹色に輝く雨粒が葉の先からポタリと落ちた瞬間。
オレはにそっと唇を重ねた。
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