第3章 俺色に染まれ ……原田 左之助
受持ちではなかったが、その存在は知っていた。
元々、男子校。今年から共学となった薄桜学園の男共の喜びようとくれば……。
青春真っ盛りのアイツらからすれば、飛びっきりのご褒美みたいなものだろう。
総司がいち早く手込め……じゃなかった、恋人にしてしまった真っ当に美人の華を含め、女子は合わせて10人ほどが入学してきた。
その中の一人、 。腰に届くくらいの大きなウエーブのかかった長い髪を揺らし登校してくれば……誰もの視線を集めた。
佇まいも優雅で、これまた内面は女にしておくには勿体無いくらいの気っ風の良さ。
同じ世代なら、躊躇わずに手にいれたいと思うほどのいい女だ。
だが、接点なんぞはない。周りの学生らと同じ、ただ遠巻きで見ているだけ。
原田
『しかし、今日も綺麗だったな……って、言葉に出ちまうって俺は何やって……。』
いきなり開けられた職員室の扉。そこに居たのは、紛れもなく想像していた。
『あ、すみません。永倉先生はおいでないのですか?』
原田
『あ、あぁ……教室の見回りに行っているぜ。何か用か?』
『…………。』
だんまりか?