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プロポーズされてみませんか? 【短編集】

第8章 運命 【澤村大地】



澤村side
運命だと思った。大学ですれ違ったとき、体に電流が走ったかのような感覚に襲われた。気がついたら君のことを探すようになった。2年になったとき告白したら「私も1年前から好きだったんだ」なんて言って笑って。それから順調に過ごしていたけど、最近はすれ違いが多い。俺のバイトが最近忙しくてなかなかデートに行けない。それに最近は会える回数も減った。でも今日は久しぶりのデートだ。

いつも待ち合わせで使っている時計台の下で春乃を待つ。携帯から目を離し、春乃が来るであろう方向を見る。けれど姿は見えず、再び携帯を見ようと視線を向けようとする。けれどその視界は真っ暗になった。
「だーれだ?」
この声は…。
「春乃?」
「そ!正解!ごめんね、遅れて」
「いや、構わないよ」
春乃と手を繋ぎ、歩き出す。
「久しぶりのデートだね!」
春乃が満面の笑みで俺を見る。そうとう嬉しいらしい。まぁ、俺も嬉しいけど。
「どこ行くの?」
「決めてない」
「え!?決めてないの!?」
「たまには良いんじゃないか?ノープランのデートも」
「そうだね!あ!じゃあちょっと服屋さん行ってもいい?見たい服があって」
「良いよ。行こう」
俺が賛成すると、春乃の表情がパッと輝き、嬉しそうに口角を上げる。可愛いな。
服屋に着くと、春乃は何着か服を見て、お目当ての服を見つける。
「これだ!」
そう言って春乃が手に取ったのは、薄桃色のワンピースだった。飾りがあまりなくシフォン生地でできたシンプルなワンピース。
「ねぇ大地!これ可愛くない?」
春乃が服を自分にあてながら俺に聞く。
「可愛い。春乃に似合ってるよ」
「本当!?これ、買おうかな」
「俺は良いと思うよ」
「うーん。試着して決める!」
そう言って試着室に駆け込んで行った。春乃は買い物するとき凄く慎重なんだよな。本当に欲しい物なのか改めて考えて買うか買わないかを決める。
「ね!大地!」
春乃が試着室のカーテンの隙間から顔を出して俺を呼ぶ。俺は試着室の前に立つ。それを確認した春乃がじゃーん!と言いながらカーテンを開ける。
「どう?似合う?」
「……」
「え!?何で無言!?に、似合ってない?」
春乃が不安そうに俺の顔を見る。
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