第6章 サプライズ 【緑間真太郎】
春乃を抱え、リビングのソファに座らせる。寝室から救急箱を取り、素早く手当てをする。
「よし、これでいいのだよ。しばらくは痛むがしっかり固定してあるから大丈夫だ」
「うん。ごめんね真ちゃん」
「気にするな」
「落ちたとき足動かなくて、真ちゃん居ないし凄く怖くて不安で、もうどうしたらいいかわからなくて。でもポケットに電話入ってて良かった」
そう泣きあとがある顔で笑う。春乃の頭を撫でる。
「すまないのだよ。不安にさせて」
「ううん。真ちゃんは何も悪くないよ」
「春乃」
「何?」
「明日の夜は予定空いているか?」
「うん。大丈夫だけど?」
「明日出かけよう」
「うん!」
「それじゃ、今日はもう遅いしもう寝るのだよ」
「うん。おやすみ、真ちゃん」
春乃を寝かせて俺はリビングに脱ぎっぱなしにしてあるジャケットを片付けた。これ以上不安にさせるのはダメだ。明日、伝えよう。あの場所で。
「ねぇ!真ちゃん!まだ?」
「まだなのだよ」
春乃に目隠しをし、手を引いてある場所まで連れて行く。
「まあだぁ?」
「もうすぐなのだよ」
しばらく歩き、立ち止まる。
「着いたのだよ」
そう言って目隠しを外す。目を開いた春乃からは驚きの感情が伝わる。
「綺麗………」
俺が春乃を連れて来た場所は夜景が見渡せる場所。
「空のお星様が落ちてきたみたい………!!」
「そうだな」
しばらくその景色を味わい、俺は春乃を俺の方に向ける。
「春乃」
「何?」
「俺は不器用で、口下手で、メガネでおは朝信者だ」
「うん」
「それでも俺なりにお前を愛している」
「うん」
「俺はお前と一緒になりたい。だから俺と結婚してくれ」
俺は指輪を差し出し、言った。その指輪を見て俺の顔を見る春乃の目にはうっすら涙が浮かんでいる。
「本当?私でいいの?」
「春乃がいいのだよ」
「真ちゃん……!」
春乃が俺にきつく抱きついて来た。
「喜んで!!」
泣き笑いを見せる春乃にキスを落とし、左の薬指に指輪をはめる。
「一生幸せにすると誓うのだよ」
「うん」
そうして俺たちはもう一度キスをした。