第5章 許されざる者 @ 孤爪研磨×β
「研磨。」
休憩中に黒尾が研磨を呼び止めた。
あれ以来気まずくて、研磨は部活には行っても黒尾を避けていた。
「…何。」
「俺ら、何も付き合ってたりしてないから。」
「…今更遅いよ。」
「…俺がαだったから、Ωのフェロモンと引き合っちまっただけだから。もうあんなことないから。だから…」
「もう遅いんだってば。クロとは部活もあるからいいけど、遙とはもう話さないし会いたくもない。」
黒尾は何も言うことができなかった。
謝罪のLINEも全部見ずに消した。
それだけ、初恋をかき消されたことが、悲しくて悲しくて仕方がなかった。