第6章 オリバンダーの店
【オリバンダーの店――紀元前三八二年創業 高級杖メーカー】
紀元前三八二年、ですか
古いなんてもんじゃありませんね
チリンチリン
奥の方で鐘が鳴っている
中に入ると、全体的に薄暗くカウンターの奥には何千もの細い箱が積まれている。
色んな魔力を感じる。
「いらっしゃい」
「こんにちは」
「おぉ、貴方を待っていましたよアレス・セルウィン さん」
「息子の杖をよろしくお願いします」
「ああ懐かしいセルウィン さん
貴方の杖はイチイの木にドラゴンの心臓の琴線28cm良くしなる」
「流石です、今でも使わせて頂いてます」
「そうかい
さて、どちらが杖腕ですかな?」
「左です」
「腕を伸ばして。そうそう」
どこからかメジャーが出てきて肩から指先、手から肘、肩から床、膝から脇の下、頭の周りと測っていった。
オリバンダーさんは強力な魔力を持った物を芯に使っているんでしたよね。
確か、一角獣のたてがみ、不死鳥の尾の羽根、ドラゴンの心臓の琴線。一つとして同じものはない。
「これはどうですか
ぶどうの木にドラゴンの心臓の琴線十九センチ良質でしなりが良い」
手に取り上から下に振ってみる。
しかし合わないのか、奥にあった花瓶が爆発した。
「おーいかんいかん
これはどうかね?楓に一角獣のたてがみ二十一センチ」
杖を受け取り振ろうと腕を上げたらもぎ取られた。
「これも違うようですな」
それから何十本か試したもののなかなか決まらない。
僕のテンションが下がっていくのと正反対にオリバンダーさんの機嫌は上がっていく。
「さてさて、これはどうかの
バジリスクの牙に獅子の髭と不死鳥の尾の羽根三一センチ。強力、闇の魔術や攻撃呪文に最適」
「(これですね)」
見た瞬間に思った。
真っ黒で光加減によってはキラキラと輝いて見える
とても綺麗な杖。
握ってみると急に指先が温かくなった。
そして空気を切るようにヒュンッと振り落とした。
すると、杖の先から青や赤、緑などいろんな色の光線が出てきて何かの形を作った。
大きな蛇と獅子
獅子の周りを蛇か守るかのようにどぐろを巻いて暫くすると消えた。