第2章 負けず嫌い【月島 蛍】
【おまけ】
昼休み 階段最上段ー
「…で、君はなんで
ヘッドホンを盗ったりしたの?」
ヘッドホンを返すためと、
お昼ご飯を一緒に食べるため
屋上前の踊り場に集合する。
『それは……』
「それは?」
『蛍が…曲ばっか聞いて
構ってくれない…から//』
「(思ったより可愛い理由)…//」
「っで、なに自分で言って
顔赤らめてんの?」
『だ、だって…恥ずかし…//
ってか、今のは蛍が言わせたんだよ?』
「はいはい…
それに、曲聞いてたのは…」
蛍が何か言おうとしたとき、
少し大きな声が
階段の吹き抜けから聞こえてくる。
「そういえば昨日さ!」
「おー、」
「うちのクラスの□□の顔が超赤くてさ、
ちょっと…汗ばんでて…なんて言うのかな…
お風呂上がりみたいな
火照った感じで…
めちゃくちゃエロかったんだよ!」
「まじか!
あー、でもなんか分かる!
□□って、
なんかエロいよな…//」
「気が強そうでエロいって…
たまらんよな…」
本人が聞いているとも知らず男たちは
そのまま階段を降りていく。
私は自分の名前が呼ばれたことと
その話の内容にドキッとする。
『……///』
「……なんで顔赤いのさ。」
『え、えろい…って…//』
クラスメイトにも私にも
呆れたような顔をして
ため息をつく蛍。
「はぁ…
俺の彼女をエロい目で見てるやつが
いるとか、最悪なんだけど…」
『もうあの人の顔見れない//』
私は火が出そうなほど熱い顔を隠す。
「あの状態で授業に出させたのは
失敗だったみたい…」
蛍はボソッと何かを呟いて
またヘッドホンを装着してしまった。
『あぁ……
蛍のご褒美タイムが終わった…』
ガーン……
と、沈んでいると
チュ…
頬にキスされた。
『!///』
「その赤らめた顔…
俺以外に見せるの禁止ね…//」
口をとがらせて
そっぽ向く蛍の頬は
ほんのりピンク色だった。
『へへっ…//』
「……//」
(それに、曲聞いてるのは
君がオススメしてきた
バンドの曲ばっかだよ…//)
蛍のカバンの中に
私の好きなアーティストの
チケットが2枚入っていることを知るのは
まだ先の話である。
*終わり*