第18章 殺伐の春
柳「そうだな。あれだけの身体能力がありながら体のつくりがどうなっているか」
『柳君...』
南「えーっと。あ、スポーツマンじゃない気がする」
ジャ「は?」
南「スポーツマンの体つきじゃないの」
『...よく見ていますね』
溜息を1つ零して上着を脱ぐ
そこまで付いてない筋肉は目立たない
『殺し屋と言うのは、相手の弱点を抉り出し対応する事。状況判断、相手の仕草、自分の特徴。それらを絞り出す事で始まります』
柳「元から体力が多い訳でもなければ、身体能力が格段に違う訳でもない。仁王がマネをする事が出来ない理由だ」
仁「ほー、なんじゃそれは?」
柳「氷月は自分の体の使い方を熟知している。体力が多いのではなく、体に掛かる負担を軽減している。相手の攻撃を避ける事が出来るのは動体視力と瞬発能力だけである」
『正解です』
幸「俺達が違和感に思っていた動作が、それだったのか」
柳生「それなら若干納得がいきますね」
柳「後は足りない所を補うためにトレーニングを続けた結果が今に結びついているのだろうな」
切「氷月先輩、マジで超人ッスね」
南「てか、肌白いね。きめ細かいしつやもあるよ。筋肉も程度に付いて、男子テニス部より惚れそう」
『同性にも異性にも惚れられても困ります』
仁「俺が告っても動じないもんな」
南「え、告ったの?」
『告白されました』
柳生「返事は?」
仁「恋愛を知らんと突き返されたナリ」
切「つまり」
丸「仁王は」
切・丸「振られたー!?」
仁「氷月、ダブルスせんか?」
『ダブルスですか、仁王君とやるのは久しぶりですね』
切「丸井先輩、終了の時間が聞こえてくるッス」
丸「俺もそんな気がするぜぃ...」
柳生「とは言っても、2人は3年以上も昔に組んだのですよね?」
仁「そうじゃな」
真「なら、何か互いのプレーが変わってるから合わせるのには苦労するだろう」
『昔のように僕が彼に合わせます』
幸「そんな器用な事まで出来るのかい?」
『逆です。自分のプレイスタイルだと仁王君の邪魔にはなりませんから』
仁「複雑に動いちゃるき」
ジャ「あれ?ペアなんだよな??」
柳「すでに争っている場所が違うな」
真「協力体制が見えないな」