• テキストサイズ

古きパートナー

第15章 殺人鬼


白川側

いつもより朝早く起きれば皆は案の定まだ眠っていた

明日が欲しいために戦ったのに、虐められるだけで自分の命を捨てるなんで

『フッ...』

誰もが寝ている部屋で自分を鼻で笑い、私服に着替えてから薄いロングコートを羽織る

特に何処かへ行きたい訳でもないし、用事もないので

ただただブラブラと歩き散歩をする事に決めた

部屋と違い肌寒い廊下に出れば昨日の晩が嘘のように静かであった

...全部を思い出した自分

なるほど、アメリカの人達も知ってて殺人鬼なんて呼んだのかな?

まあ、知ってても知らなくてもどちらでもいい

ブラブラと歩いていると休憩所に着いた

「お父さん!オレンジジュースがいい!」

「はいはい、少し待ってろよ」

「ピッしたい!」

「よーし、ほら」

幼稚園児くらいの女の子が若いお父さんと自販機でジュースを買っていた

女の子は自販機のボタンだ押したいらしく父親に抱き上げられた

ピッ、ガタンゴロン

ボタンを押した商品が下の取り口にオレンジジュースが送られてきた

「わーい!」

父親から降ろされた女の子はオレンジジュースを手に取ると

喜んで走ってきた

「わっ!」

『あ...』

そこで僕とぶつかってしまったが女の子が倒れるよりも前に抱き上げた

『大丈夫ですか?』

「うん!」

女の子は満笑の笑みで元気よく返事をすると父親が慌ててこちらにやってきた

「大丈夫かい?」

『はい、大丈夫ですよ。この子にも怪我はありませんので』

「すいません。大丈夫が奈々子?」

「うん!」

父親は僕から奈々子と呼ばれた女の子を引き取るとそのまま休憩所を出て行った

それを見送ってから

胸がチクリと何かに刺されたような痛みが広がった

無意識のうちに片手が胸の中心を強く握っていた

ポケットから小銭を取り出して自販機へ入れる

ブラックの缶コーヒーを買い、そのまま小さいテーブルの椅子に腰を下ろした

『......』

考えれば考える程、頭の中に不吉な音が広がる

これが幻聴なのはわかっている

僕は弱い、優真も守れないのか

僕の中に闇が広がって行くのも、僕自信を蝕んでいくのもわかる

闇が...怖い、このまま飲まれるのが、このままでいるのが

頭を軽く振り、買った缶コーヒーを開けて飲んだ
/ 309ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp