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古きパートナー

第14章 冬休み


『寒い...』

仁「本当に苦手じゃったんや」

『嘘をついてどうするのですか』

仁「まあ、そんなに怒りなさんな」

『怒っていません』

都美子さんはまだ帰ってきておらん様子で

皆は大浴場へと向かった

氷月1人にしておくのも危ないので

部屋にでは俺と氷月の2人きり

「「ニャー」」

否、2人と2匹じゃった

氷月はすぐさまコタツへ入り込み

今まで寝ておった子猫は暖房完備の座敷で遊んでおる

仁「隣に入ってもええか?」

『どうぞ』

氷月の隣へ入り込む

おお、コタツ、暖かいナリ

なら、コタツで温まっとる氷月の体は

仁「暖かいナリ」

『...冷たいです。仁王君』

仁「まあ、そう言わんと温めてくれ」

『はぁ』

隣におる氷月がとても暖かい

『?』

俺は氷月の腰をこちらに引き寄せ抱きつくようにする






白川側

何が起こっているのかわからない状態と状況である

『何をしているのですか?仁王君』

仁「この方が暖かいじゃろ?」

仁王君の腕の中に入った瞬間に心拍数が跳ね上がった

今までとは違う息苦しさは不思議と苦ではなく

顔に少しだけ熱が溜まって行く

こんな状態になるのは初めてであり、この気持ちが分からない

仁「氷月」

『なんですか?仁王君』

仁王君の声音は真剣であり、今まで聞いた事がない

仁「氷月、なんでもええから話してくれ。辛い事も苦しい事も悲しい事もなんでもええから話してくれんか?」

『......』

仁「お前さんは1人で頑張りすぎなんじゃよ。俺達ならお前さんの力になれるナリ。頼ってもええんじゃ。甘えてもええんじゃ。泣いてもええんじゃ」

その言葉は僕を陥れるのに十分すぎる程甘く

体の奥深くまで入り込む毒のような言葉

一番聞きたくない言葉であり、一番欲しかった言葉である

鼓動が大きくハッキリと鳴り続ける

頼り方を知らない、甘え方を忘れた、泣き方を失った

どれも今の自分では出来ないものであった

仁「氷月。俺に頼ってくれ、俺に甘えてくれ、俺の前では泣いてもええんじゃ」

抱いている腕に力が込められ息苦しさが増した

テニス部のしてみれば細身の体の一部はこれ程まで力強いのか
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