第14章 感覚
そうしてその日の演習は終わった。
「久しぶりにしては合格だな」
「本当ですか!?」
リヴァイの言葉にエミは喜んだ。
「少しエルヴィンの所に行くぞ」
そう言って2人はエルヴィンの執務室へと行った。
ドアを開けると相変わらず書類を書いている。
「どうしたんだい?」
エルヴィンは2人の姿を見て驚いた様に聞くとリヴァイは真顔で答えた。
「今日俺が演習監督だったんだが、こいつの実力に変わりは無さそうだ」
「そうか。
それなら安心して壁外に行けるな」
微笑みながらエルヴィンはエミの方を見ると質問をしてきた。
「久しぶりの演習はどうだった?」
「まさか兵長が監督だとは知りませんでしたが、体が動きを覚えていたみたいで走り込み以外は特に問題は無かったです」
「走り込み以外か…
何週走ったんだい?」
「50周だ」
普通にリヴァイが答えるとコーヒーを飲んでいたエルヴィンは思わず噴き出した。
「リヴァイ…少しは優しくしたらどうだい?」
「エミは元々体力は人並み以上にある。
50周ぐらい簡単だろ」
「リヴァイは簡単かもしれないが、彼女は昨日戻ってきたばかりだ。
もう少し減らしても良かったんじゃないか?」
「ここに居る限り甘やかす訳にはいかねぇだろ」
「団長、私は平気です。
それにこのぐらいしないと今度の壁外は支障がきたす可能性があります」
そう答えたエミを見てエルヴィンは微笑む。
「相変わらず君はリヴァイには従順だね」
「補佐ですから」
そう答えるとリヴァイが無表情で話し始めた。
「今日は格闘術がメインの演習だったが、10人相手しても全く歯が立たない状態だ」
「10人相手にしたのかい?」
「はい。
私は元々格闘術は得意なので少し物足りなかったですね」
淡々と言うエミを見てエルヴィンはため息をつく。
「得意なのは知っていたが…
10人相手しても物足りないとは…
リヴァイに似てきたね」
「そうなんですか?」
少し驚きながら聞くとエルヴィンは苦笑いした。
「リヴァイは何でも強いが特に立体機動に関しては誰にも負けない。
それと同じ様な物だよ」
「なら次は兵士全員で試してみるか」
「それ本気ですか!?」
不敵な笑みを浮かべながら言うリヴァイを見てエミは項垂れた。