第4章 二宮和也の場合。
仕事が終わって家に帰ると、久しぶりに弟の姿を見た。
「…帰ってたんだ。」
「ん、久しぶり。」
1人暮らしをすると言って出ていった弟は、久しぶりに見ると凄く大人になっていた。そりゃそうか、もう24だもんね。立派に社会人やっちゃって。…なんか生意気だ、カズのくせに。
生意気な弟は大きな鞄からタオルやらスエットやらを取り出す。その姿を見ると今帰ってきたばかり、らしい。久しぶりすぎて続かない会話とぎこちない空気を気にする私とは裏腹に、弟はなに食わぬ顔で口を開く。
「5年ぶり?ねーちゃん今いくつよ。」
ふふ、といつもの含み笑い。カズの言う「ねーちゃん」に違和感しか覚えなかった。
「…鼻で笑って聞かないの。まだ27だもん。」
「だもん、て。まだ、結婚しないの?」
「い、痛いこと言わないでよう。」
「んふふ、だから俺が貰ってやるっつってんじゃん。昔から。」
そう、私と和也は血が繋がっていない姉弟だ。
『 キョウダイアイ 』