第3章 相葉雅紀の場合。
目の前のグラスに口をつけて
「そうだね、うん、そうかも」
と彼の話に頷いた。
今はもう、綾人の名前が出ても笑えるようになった。忘れたわけじゃない。
ただ、前に進んだだけ。それもみんな相葉くんのおかげだと思ってる。
相葉くんには言わなかったけれど、別れ話にはまだ続きがあって。
「なんで俺と付き合ってるの、
俺のこと本当に好き?」
だなんて、女の子みたいなことを聞かれた。
これでこの質問は3人目。
でもこの3人目の彼の言葉で、別れる原因は私にあるんだと初めて気付いた。
私はまだ付き合う人に
彼を求めているのかもしれない。