第3章 相葉雅紀の場合。
「私ってさ、あれだ、あれ。
ダメンズ好きなんだよね、きっと」
「うん、俺もそう思う」
「あはは、まさか肯定されるなんて。
慰めてはくれないの?」
「うん、だって聞いてくれないんだもん、
俺の話」
そうやって相葉くんは「あはは」と笑って目の前にあるワインに手を伸ばす。
2日前に付き合っている人から「別れてくれない?」そう言われた。
今日は慰め会ということで、相葉くんが企画してくれた飲み会。
私たちの間には決して男女の関係はなく、あるのは「綾人」ただそれだけ。
「なんでかなぁ、
人を見る目には自信があったのに」
「そう?綾人だけだよ、いい男だったのは」
久しぶりに聞く彼の名前に温かいものが胸に蘇る。
綾人は私が5年前にお付き合いしていた人。相葉くんは綾人の友達で、そこから3人でよく一緒にいるようになった。
でも今、その彼はここにいない。