第11章 妖怪妖かし物語/切原赤也 3/26更新
「まったく、ついてないぜ」
部室に忘れ物をしたことに気付いて、夜の10時すぎに忍び込む
本当だったら、明日の朝いちばんに回収すればいいんだけど
多分、無理
俺、ぜってー寝坊するし
回収しなくっちゃならないのは、赤点をとったテスト用紙
あんなの真田副部長に見つかったら、殺されるぜ
しかし、夜の学校っていうのは不気味じゃん
なんか、でそうな気がして落ち着かない
早く回収して帰りてぇ
ポケットから、鍵を取り出して鍵穴に差し込もうとするんだけどよ
えっ?
なに、これ?
俺、びびってんのか?
指が震えて、上手く出来ねえ
マジかよっ
ただでさえ、静かすぎて気持ちわりいのに
必死こいて、鍵を回しドアを開けると
「ひい!?」
暗闇に光る物を発見!
な、なんだ!?
「にゃーおん」
ね、ネコ?
月の光りに照らされて、銀色に光ってみえる
ゆっくりと伸びをして、俺をみつめる
「随分と小心者じゃな。人間」
はあ!?
い、いま……しゃべったのか?