第23章 手塚国光の憂鬱/手塚国光 4/9更新
諦めて帰ろうとした矢先に「サボテン占い」の文字が……
もはや、イヤな予感しかないのだが
それでも勝手に扉を開けてしまう俺
「やあ、手塚……」
頬杖をつきながら、微笑む不二は最早正体を隠す気はないのであろう
「やはり不二であったか」
「驚かないんだね?つまんないや」
「想像はしていたからな。さっき、乾にも会ったぞ」
「そうなんだ。まっ、座ってよ」
椅子に座るように促されるが……
俺は、座っていいのだろうか?
不二に言って俺の悩みが、解決するのか?
疑問に思いながらも、椅子に腰かけてしまう
「ねえ、手塚……」
「なんだ?」
「君の目の前にいる僕は、不二周介であって不二周介じゃないよ」
言っている意味がよく分からない
「ここにいる不二周介は、サボテンの言葉を聞き、悩んでいる人に進むべき道を指し示すだけだよ」
柔らかく笑う不二の笑顔
確かに……
そうかも知れない
普段の不二とは違うオーラがあるようだ
「手塚は、何も喋らなくていいんだよ」
「うん?」
「全ては、このサボテンが……」
目の前に置いてあるサボテンを両手で包み込む
「君の心の奥底にある悩みを知っているから」
妖しく笑う不二から目が離せない