第2章 木槿の花『信念』
あまりよく知らない道を平助くんと歩く。きっと平助くんはまだ私だと気付いていない。
「そういや、お前名前は?」
「…琴葉といいます。」
「女みたいな名前だな。…そういや、土方さんの妹も琴葉だったっけ?」
まずい、気づき始めた。お兄ちゃんに会うまでばらさないって決めたんだから。絶対教えない。
「ついたぜ。ここが新選組の屯所。ちょっと待ってろ、副長の土方さんを呼んでくる。」
「はい!」
やっとお兄ちゃんに会える。お兄ちゃんはあの日私を置いていった。その理由を聞くまで私は帰らない。…もしかしてみんないるのかなぁ。総司くんも一くんも左之さんも新八さんも。いたらいいな。楽しそう。
「平助、何勝手につれてきてんだ?…ん?いや、そんなわけない…はずだよな。」
「どうかされましたか?」
「いや、あんたが妹にずいぶん似てるもんだからな。」
「だろ?土方さん!」
「平助は黙ってろ。ところでお前何者だ。なんの理由があってここまで来た?話しやがれ。」
「やっぱり仕事とは違うんだよね。わかってるよね?お兄ちゃん。」
「やっぱり琴葉か…。どうやってここまで来た?」
「うーん、内緒。」
「ったく、京の都は危ないのをわかってんのか。お前ってやつは。江戸なんかより人も多いし、不逞浪士もいる。ここに来るまで大丈夫だったのか?」