第6章 拒絶もまた
「…あんな彼女を初めて見たよ」
「…ああ」
「余計な事を、したかな」
「…わからねぇ」
二人の心には、行かなければよかったのかもしれないという後悔が埋め尽くしていた。はどう思ったのだろうか、あんなこと言ったのだからもしかしたらもう学校には来ないかもしれないと思った。
「とにかく、僕は犯人を特定しなければならないと思っている」
まだ確信がないがその犯人、目星はついているのだと花京院は言った。承太郎もそうだなと頷く。
「できるのは、それくらいだろう?」
「が立ち直るとは、思えねーがな」
正直そこなのだと思っていた。
犯人を見つけてどうこうしたところでが立ち直るとは思えない。ただそれで解決したと思うのは実際の所この二人なのだ。満足するのはではない、それを成し遂げた花京院と承太郎だけなのだとわかっているがそれはやらなければならないと思っていた。
やりたいのだ。
「…どうすればいいか、僕はもうわからないよ」
「花京院、は」
承太郎は重い口を開いた。
「…は、お前に心を開いていた。お前を信じている、だからお前のやる事はが望むことなのかもしれない」
「何を言っているんだ、と長く一緒にいたのは承太郎だろ?」
「俺はアイツに何もしてやれなかった」
だから、と続ける。
「アイツを助けてやれるやつをずっと探していた」
花京院は承太郎の目を見つめる。
「お前しかいねーと俺は思った」
「承太郎…?」
「無責任かもしれねえが、助けてやってくれ」
珍しく承太郎が泣いているように見えた。