第8章 第8Q:☆ふたりぶん☆<赤司>
「はな?」
部屋に入ると、椅子に座って本を読んでいたはなは、
オレが名前を呼ぶと嬉しそうな笑顔を見せてくれた・・・
はな「(おかえりなさい・・・征十郎・・・)」
相変わらず・・・綺麗な手がヒラヒラと舞う・・・
「抱きしめてもいいか?」
オレがそう聞くと、椅子から立ち上がり、
ゆっくりと胸に納まってくれた・・・
細い身体を抱きしめる・・・
はな「(征十郎・・・私が、試合会場にいたこと気づいてたの?)」
「気づいていたよ・・・どこにいても・・
はなはオレの眼から離れることはない・・」
そう言うと、嬉しそうににっこりと笑ってくれる・・・
ダメだな・・・
完全に消えたと思っていたが・・・
もう一人のオレが・・・オレに嫉妬する・・・
はな「(征十郎?)」
「いや・・なんでもない・・それより疲れなかったか?」
はな「(平気・・・)」
「そうか・・・」
しばらく抱きしめていたが・・・
やはり・・俺も男なのだな・・・
「はな・・・」
名前を呼ぶ・・
それだけで・・・
はなは俺の言おうとしていることを理解したようだ・・・
「クスクス・・・顔が真っ赤だよ・・」
はな「(だって!!征十郎が・・・帰ってきた・・・)」
ヒラヒラと舞う手の甲には・・・
彼女の綺麗な涙が零れ落ちていた・・・