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【ハイキュー】エンノシタイモウト

第44章 【起きて欲しくなかったこと】


「意味がわからない。兄を慕って何が悪いんだ。」

田中が目でもうお前相手するなと言ってくれているのがわかる。しかし敬愛する義兄をここまで言われて黙ってられる美沙ではなかった。
そんなブチ切れ寸前の美沙を相手その3が更に追いこむ。
お前知らないのか、と相手は言った。2-4の縁下は1年の頃一度バレー部から逃げた根性なしだ、そんな奴を兄として慕うのはお前くらいで縁下もわかってるからお前を縛り付けて囲うんだ、と。
聞いた瞬間、美沙は全身の血が今度こそ沸騰したような心持ちになった。
あの義兄が排球部から一度逃げた事があるなんて知らなかった。それでもあまりな言い草に田中、西谷、成田にも緊張が走ったように思える。特に成田の美沙の肩を掴む手に力が加わった。美沙は美沙でそれでも身じろぎをする。

「やめろ、女子が喧嘩しちゃいけねえ。」

美沙の腕を掴んで西谷が言う。

「せやけど西谷先輩、あいつっ。」
「美沙さん、兄貴が泣くよ。」

成田も辛そうに囁く。美沙は奥歯を噛み締め頷くが我慢は既に限界を超えかけている。
そこへ相手その1がとどめをさした。お前ら兄妹でベタベタ気持ち悪いし、それを庇う男バレの奴らも気持ち悪い、と言ったのだ。プツンと美沙の中で何かが切れる音がした。

「美沙さんっ。」
「やめろぉっ。」

想像以上の火事場の馬鹿力で振り切られてしまった成田と西谷が悲鳴をあげる。

「馬鹿、止まれっ。」

高速で横を抜けられた田中も叫ぶが美沙は止まれない。美沙自身もどうやって野郎共2人に抑えられていたのを抜け出せたのか、どうやって壁になっていた田中の横をすり抜けられたのかわからない。
ただ激情にかられていた。兄どころか自分も世話になっている兄の仲間まで侮辱された。許せない。流石に動揺したか固まっている階段上の3人の目の前まで迫り、片手は掌底打ちの形、そのまま腕を振りかぶって1人目の肩をとらえようとした矢先だった。
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