第10章 恨み
何故、空気が重くなったか…というと…。夕食を終えた皆は、つい先ほどの討伐の話からそうなった。
誰1人も諦めずに戦い続けているというのに、杲良の一言によって空気が一気に変わった。杲良は、口を吊り上げ不気味な笑みを浮かべる。
「熱心なのは、構わないが…。洸汰は、恨んでいるのではないか?」
そうこの一言に、黒子達以外の人達は氷のように固まる。本人である洸汰は、目を見開く。
「な、に………を……。」
洸汰は、驚きながらも言葉を繋げようとする。杲良は、吊り上げたまま洸汰を見る。どこか企んでいるようにも見える。
「お前は…剛也を心底恨んでいるのではないか?その息子である光瑠も恨んでいるのでは?」
「お、れは……。」
洸汰の声は僅かに震えていた。杲良は、面白そうに洸汰の心を揺さぶる。そして、よく見ると洸汰の手は僅かに震えていた。
「お前の父親は、剛也によって殺されたと同然なのだ!」
「違うッ!!!」
杲良の声に負けないようの声を張り上げる洸汰。この事に、驚く杲良。それと同時に、動いた人物がいた。その人物は、杲良の首筋に刀を突き付けていた。
「姫様……?」
勿論の事、洸汰も驚いていた。そう、刀を突き付けたのは、柚姫だ。柚姫の瞳は、しっかりと杲良を捉えていた。
「叔父様、これ以上…洸汰を侮辱するなら、その首……切り落としますよ?」
「……君も物騒だな。分かったよ…。今日は、この辺にしておくよ。」