第15章 獲物監禁室
私は、最初に通された部屋に監禁されていた。
私の命は彼らが選択する時までらしい...。
私は、必死で逃げ道はないかと部屋中を探していた。
黙って彼らの思い通りになりたくなかったからだ。
安田「なぁ、この部屋は特別の獲物監禁室なんやで」
安田は、呆れたようにテーブルに座りながら
私に言った。
「えっ、いつ入って来たの?」
私は、安田がいる事に驚いた。
安田「俺らは吸血鬼やで?壁からでも入れるしな。」
笑いながら安田は答えた。
「何でもありなんだね、吸血鬼は?」
私が呆れた感じで呟くと
安田「なぁ、あんたは何者なん?
俺さ、ただのクリスチャンと違う気がするねんなぁ」
私の顔色が変わったのを、安田は見逃さなかったが、話を続けた。
安田「まぁ、無理にはいいけどね、
俺らさぁ、一か月も血を飲まんと、渇きで理性が保てなくなるんやで」
安田の雰囲気が少しづつ変わっていく、
顔から笑顔が消えていくのだ。
安田「理性のない吸血鬼ほど怖いモノはないからさぁ...平気で仲間にも襲いかかるんやで、俺らは1ヶ月に一人だけ犠牲にして生きてるけどさぁ、それはまぁ、人が牛を食べると変わらんやろ?」
安田の瞳が怪しい色に変わった。
「何がいいたいの?」
安田の言葉に困惑する私に、安田は冷たい顔で目の前に立った。
安田「生きる為であって、罪を犯してはいないって事...」
強い眼光で私を睨みつけた。
その時に私の部屋の扉が静かに開いた。
目線を向けると、大倉が入って来て
一瞬で全てを悟ったように
大倉「ヤス、あんまり怖がらせるようなことは、控えて...」
そう言って、安田の背中を撫でる大倉
安田「そんなつもりは...」
口をつぐむ安田
大倉「すまない、約束したのに...」
静かに大倉は私に謝罪をするように頭を下げた。
「大丈夫です、これぐらい...馴れてきたのかなぁ?」
私はおどけるように答えると、
大倉は少しだけ微笑んだ。
その、些細な事ですら、嬉しかった。
安田「おーーい、俺を無視すんなって」
私たちの様子に拗ねたように安田は言った。
大倉「あっ、ヤスごめん」
申し訳なさそうに、大倉は肩を叩いた。
安田「別にええけどな、俺はお邪魔みたいやしな」
大倉は
完全拗ねモードの安田に近寄り、耳元で何かを囁いた。すると安田は笑顔になった。