第8章 桃の荷造り
「ねぇ#NAM4#。今までありがとう。もうきっと会えない…いや、会わないと思う。」
その部屋には桃と悠だけだった。
「桃…好きだよ…」
桃の荷造りは速かった。
「やっぱりだめだ…僕は…桃が居ないなんて耐えられない…」
桃の荷物はとても少なかった。
「僕はこの郷にいるつもりはもうないよ。」
「知ってる…桃は昔っから頑固だもんね。だからね…僕も一緒に人間界に行く…」
思いもよらない言葉だった。
「だめだよ!悠は残らなきゃ!」
「桃、知ってるでしょう?僕が桃以上に頑固だってこと。もう決めたから。少し寂しいけど、桃が居ないよりはまだ耐えられそう。」
悠に迷いはなかった。
「兄さんにだけ言ってくるね」