第6章 父からの手紙
初めまして、風の神です。
無事十六歳になれたでしょうか。(天狗の嫁取りにあった事は知ってます)
私はあなたの父親です。突然言われても信じられないと思いますが、貴女は紛れもなく私の娘です。貴女のことをずっと見ていました。(十歳のときのこと以外でも貴女は襲われかけていましたよ。詳しくは隣に居るであろう男の子に聞いてください。)
きっと一番気がかりなのは六年前、貴女が十歳だったときの真実だと思います。誰があの村を滅ぼしたのか、どうして襲われたか、そのすべてを私は見ていました。貴女の村を襲ったのは土蜘蛛です。動機は貴女の力を恐れてです。
この真実を知って貴女は苦しむでしょう。でも、周りには沢山の貴女を思っている人達(正しくは天狗達でしょうか)がいます。頼ることも大切ですよ。苦しいことを全部言ってみてください。少しくらい迷惑をかけたほうがかわいいです。
今、貴女の隣に居る人を大切にし、守って守られなさい。
お父さんとして教えることはそれだけです。私はこれを出来ず、大切な人を二人も失いました。本当に大切な人は絶対に離してはいけません。
誕生日おめでとう、桃。さよなら。