第32章 私の経歴
気付けば、下校時間ギリギリになっていて、皆で慌てて片付けをして、解散になった。
今は、梢と一緒に帰ってるところ。
梢
「皆良い人っスね〜…暦、よく泣かなかったね?」
暦
「うん…皆良い人だよ」
だからこそ…言えなかった。
梢
「本当の事を言えば、練習に付き合って、なんて言われなかったろーに…良かったの?」
暦
「良かったの。…それなら、約束を破る事にはならないから」
梢
「もし、知られたら…暦は、どうするつもりなの?」
過去の夢を見た、合宿中の夜…泣いてた私に、菅原先輩は気付いて、気遣って、優しくしてくれた。
そして、嘘は吐くなって言われた。
でも、私は…菅原先輩にも皆にも、嘘を吐いた。
暦
「もし、皆に私の過去を知られたら…」
私は、過ちを悔いて、罪を償いたいと思って、でも自分の大事なものを捨て切れない…酷い人間だ。
暦
「バレー部を、辞める……二度と、皆には関わらない」
私は──大切なものを壊した人間だ。