第16章 小さくて大きな人
西谷
「けどやっぱ“憧れ”と言えば、エースかあ」
日向
「ハイ!エース、カッコイイデス!」
西谷
「“エース”って響きが、もうカッコイイもんな。ちくしょう」
響きって…
西谷
「『エーススパイカー』って言う花形に比べたら、セッターとかリベロは、パッと見地味だもんな」
影山
「(ムッ」
菅原
「まあまあまあ(汗」
西谷
「けどよ、試合中、会場が一番“ワッ”と盛り上がるのは、どんな凄えスパイクより、スーパーレシーブが出た時だぜ。
高さ勝負のバレーボールで、リベロは小っちぇえ選手が生き残る、唯一のポジションなのかもしんねぇ。
けど、俺はこの身長だからリベロをやってる訳じゃねぇ。
例え身長が2mあったって、俺はリベロをやる。
スパイクが打てなくても、ブロックが出来なくても、ボールが床に落ちさえしなければ、バレーボールは負けない。
そんでそれが一番出来るのは、リベロだ」