第51章 大切なもの
う、嘘だって見抜かれてる…
そう思ったのは、菅原先輩が、私に向かって笑うから。
いつもの笑顔に見えるのに、寒気を感じるのは何故だろう。
菅原
「俺さ、お前に嘘つくなって言ったよな?」
暦
「ハイ…言われました」
GW合宿の時の話だ…
菅原
「だったら…」
笑顔じゃなくなった…菅原先輩は、真っ直ぐ私を見る。
菅原
「もう、これ以上嘘つくな」
暦
「!」
ギュッと、思わず両手拳を握った。
一度目を閉じて、一つ深呼吸をして…
暦
「すみませんでした」
目を開いて、菅原先輩に頭を下げた。
ここまで心配してくれて、優しくしてくれる人に…嘘を吐くなんて、しちゃいけない事だった。