第13章 Heart
「高尾くんが……すき」
言われた途端、ハッとした。
しばらくの間どう反応していいか分からなくて、言葉が出てこなかった。
まさか夢にこんなことを言われるなんて思っていなかったから。
「……ずっとずっと高尾くんのことが好きでした!……こんなに好きになった人は高尾くんが初めてなんです。だ、だからっ……その………わたしでよければ……付き合って、ください……っ」
これは何かの嘘?
そう思ったが微かに見える西堂の表情は真剣そのもの。真っ赤な顔でオレを見て、目は潤んでいる。
去年の夏祭りに初めて西堂の名前を知って、初めて話して普段話す仲までになった。
西堂は心結と違って話すのが苦手で人見知り。いいヤツなのは知っているけどオレが話しかけたっておどおどしていたり黙り込んでしまったりが多かったから自分のことが苦手なのかと思っていたのに。
その思い込みが全くの正反対だったとは思わなかった。
今日だってオレに用があるって言ったのはこのことのためだろう。
今さらになってやっと分かった。
今まで見せていた西堂の態度の理由も、
オレに好意を寄せていたことも。
「………ありがとう。」
高尾はまっすぐに夢の顔を見た。