第5章 ＊蒼井空 side火神大我

｢火神くん！はい、タオル｣
｢お、おぅ…サンキュ｣

…くっそ。
なんなんだよ、この気持ちっ…！
胸がキューっと締め付けられるみてぇだ。
あいつと話すと、必ずこうなっちまう。
どうしたんだよ、俺っ！

もしかして…
これが、恋、ってやつなのか？

…わかんねぇ。
恋なんて、したことねぇし。
そもそも、あんま女とか好きじゃねぇし。

でも…あいつは違う、気がする。
初めて見たときに、なんか…こう、うまく言えねぇけど、ピンと来たっつーか…。

って、何考えてんだ、俺！
…ったくあいつのせいで、俺、おかしくなるわ。

モヤモヤしながら帰ってたら、後ろから黒子が来た。
｢火神くん！｣
｢あ？なんだよ｣
｢蒼井さん、落ち込んでましたよ｣

"蒼井"。
その名前を聞いただけで、俺の心臓は激しく動きだし、顔は熱くなってきた。

｢…なんでだよ｣
俺は平静を装って言った｡と思う。
｢火神くんの様子がおかしい、って｣
｢…っ！///｣
そっ、それはだな…！
おまえと話すとおかしくなるんだよっ…！
｢べ、別にお、おかしくなんか…｣
｢火神くん…恋ですか？｣
｢ばっ…！///｣
俺は顔が真っ赤になるのがわかった。
｢ちげぇし！は、ちげぇしっ！バカじゃねぇの！？｣
そんな俺を、黒子は黙って見ていた。

｢…安心しました｣
｢…は？｣

黒子は真面目な顔をしていた。

｢僕は、蒼井さんが好きなんです｣

｢は？…え、蒼井のこと…｣
｢好きです｣

黒子は、まっすぐに俺を見つめている。

｢…っ、俺だって…好きだよっ！｣

俺たちは、
仲間から、恋敵になった。