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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第6章 走り出せ!





◆◇◆◇◆◇◆◇



「……危なかった……怪我はないか?」

ルートは腕の中の少女に声をかけた。





――地震の直前、ルートは少女の近くにいた。

具合悪そうな少女に、声をかけようとしたのだ。

それに、あの彫像はいつ倒れるかわからない代物らしい。

注意を促そうとして――地震が起きた。

少女が地面にうずくまり、彫像がかしいだのを目にする。

揺れにも構わず、彼は一目散に駆け寄った。

動かない少女を抱きかかえるようにして、その場から転がり出た。

一瞬でも遅れていたら、女神像のキスは紙袋ではなく、少女に降りかかっていただろう。本当に間一髪だった――。






「おい、大丈夫か?」

起き上がり、無反応な少女を訝しんだルートは、少女の肩をたたく。やはり反応はない。

しばしのためらいのあと、顔にかかる髪をどけると、まだあどけない寝顔がそこにあった。

気を失っているらしい。

しかし、妙に頬が紅潮している。

ルートは少女の額に手を当ててみた。

「……やはり熱があるな」

少女は荒い呼吸を繰り返している。どう見ても病人だ。

かく言うルートも風邪気味だったが、軽々と少女を抱き上げた。

「まさかとは思うが――いや、それはないか」

浮かんできた考えをひとまず端に追いやり、ルートはその場をあとにした。
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