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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第41章 暗鬼による確信による、


姿勢を保つのもままならない。

吐き気がする。

「――信じて、たのに……っ!」

捩じ切られたような嗚咽が聞こえてきて、私の視線を否応なしに絡めとる。

「君を信じたのは間違いだった!」

アルフレッドが、私に銃を向けていた。

裏切られて傷ついた瞳が、ありったけの激情でもって私を射抜いていた。

震える銃口は、私を捉えている。

そしてその腕には、マシューが抱えられていた。

ぐったりとアルに体を預けたマシューの右腕は真っ赤だ。

濡れて鈍く光りながら、だんだんと錆びたような黒を纏っていく。

かたわらのフランシスと同じ匂いがした。

何が起きたのか、起きているのか、全くわからなかった。

ただ温い血の匂いだけがいやに濃くて、えずきそうになる。

「誰に向けてんだよっ!?」

アーサーのほとんど悲鳴に近い問いが、思考能力をわずかに呼び戻した。

フランシスがマシューに撃たれた。

この目で見た。

でも、マシューが血を流していて、アルフレッドは私を銃で撃とうとしている。

そんな“風景”は視覚から認識できたが、ただそれだけで、その風景の意味なんて全く理解できなかった。

でも、その風景の中に。

「……アルフレッドさん、銃を下ろしてください」

波紋ひとつとない水面を思わせる黒瞳が、静かに現れた。
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