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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第39章 錯綜と進む針と


「今夜はもうお休み下さい。随分お疲れのご様子ですよ」

言いたいことを言い終えたらしい。

上司は一礼して、部屋を出ていく。

木のこすれる音のあと、パタンと扉がしまった。

一人残された部屋の蛍光灯が、ジー、と鈍く鳴る。

上司の言うことは、間違ってはいない。

どれほど手を尽くそうと、この異変の中で全てを把握するのは不可能だ。



――菊は、より強い公子の協力を取りつけた?

――そしてアルフレッドより“真実”に近づいている?



「……っ! 俺は、なにを――」

疑心暗鬼に陥りかけている自分にハッと気づく。

皆で協力しなければならない。

それは、今さっき自分が言い、ずっと前から理解していたことのはずだ。

だからこそ、無断の研究を問いただしたのに。

マシューは一体どこに行ってしまった?

なんのために、主要なデータを、装置を破壊した?



そもそもあれは――本当にマシューか?



「くそっ!」

ドンッ、と拳を机に叩きつける。

じんじんとした電気的な痛みが拳に宿る。

目眩がした。

脳は眠りを拒否しているのに、体は疲れてひどく眠いような気もする。

窓の外では、月が煌々とあたりを照らしていた。
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