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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第39章 錯綜と進む針と


「どうして黙ってたんだ!」

バンッと机を叩く音と、怒号が重なる。

戸惑いと怒りに荒れた息遣いで、アルフレッドは上司に詰め寄った。

「そんな重要なことを――“消失点”を作る研究をしていたなんて!」

マシューの姿が消えたあと間もなく、アルフレッドは緊急の呼び出しを受けた。

そこで、研究所のデータや、一部の装置が破壊されたことを知らされた。

説明されるまでもなく、マシューの仕業であるとアルフレッドは直感した。

それから、上司や研究員の話を聞いているなかで、彼らが意図的に言及を避けている部分があることに気づいた。

追及すると、彼らの口から出てきたのは、

『“消失点”を疑似的に作りだす』

そんな恐ろしい研究を、アルフレッドに知らせず行っていたことだった。

「あなたは反対なさったでしょうから」

「そりゃ反対するよ、危険じゃないか!」

「しかし我々が先導しなければ、このたびの異変は解決できません。どのような危機も、我々がリーダーとして世界を引っ張ってきたではありませんか」

上司の口調は鋭く、迷いのないものだった。

アルフレッドは歯噛みする。

「だ、だからって、もっと違うやり方があっただろ!?」

「我々が与り知らぬだけで、他国はもっと進んだ研究をしているかもしれません。この異変のなかでは、それを把握することさえ困難です」

「でも今回は俺たちだけじゃない、[#da=1#]だって関わっているんだ!」

「ええ、X――彼女からもっと協力を得られれば、違うやり方があったかもしれません」

声には、どこかひややかな響きがあった。
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