第38章 ゼロ地点の結界より
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空腹を感じた香は、読書を一旦中断することにした。
ヨンスを見ると、ぶっ続けで集中している。
「ちょいhungryじゃね?」
「あーたしかにお腹すいたんだぜ」
「なんかとってくる的な」
「おー頼むんだぜ!」
嬉しそうなヨンスの声をあとに、台所へ向かった。
この家の探索はあらかた済ませたが、事態を解決に向かわせるようなものは、特に発見できなかった。
食材が並ぶ棚を眺めながら、ここへ来て何時間たったのか考える。
食糧が尽きるまでに、ここから脱出(?)できるのだろうか。
カップめんをふたつ手に取り、お湯を入れて部屋に戻る。
戻ってきた香に気づき、ヨンスがPCの前からテーブルに移動した。
カップめんができあがるのを待っている間、なんとなく、ふたりとも無言になった。
ヨンスはなにか考え込むような表情をみせている。
おそらく、自分も同じような顔をしているだろうと、香は思った。
「……先生、心配してんだろうな」
ぽつりと、呟きがもれる。