第7章 深海に沈めて
*
小さなファミレスでイベントの打ち上げをするアルスマグナのメンバーと一緒に、私もその時間を楽しんだ。
みんなに気を遣って禁煙席に座っていた事や、アキラの前では極力煙草を控えようという思いもあり、私は結局今日一日、煙草をふかす事は無かった。
「…ちょっと、お手洗い行ってくる〜」
のだけれど、やっぱりちょっと物足りなくて。
(先生いるからかな、ちょっと気持ち、落ち着かないや。)
私はお手洗いに立つ振りをして、そのファミレスを出た先の喫煙所に向かった。
幸い今日のイベントの話で盛り上がっているみんなには気づかれなかったようで、私はゆっくりと煙草に火をつける。
(落ち着く…)
ぼんやりと日の暮れた空を眺める。
ゆらりと被った前髪をかきあげると、お気に入りのシャンプーの匂い。これ、アキラが好きだって言ってくれたっけな。
(たばこの匂い、ついちゃうかな。)
まあいいや、と思いながら、煙草をふかしていたときだった。
「わっ」
「!?」
肩を叩かれ、驚いて落としそうになった煙草と体勢をなんとか立て直し、後ろを見る。
「あ…」
*