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深海のリトルクライ(アルスマグナ/九瓏ケント)

第4章 混ざり合って、紫


目に飛び込む、青紫の髪が風に揺れる。

「日直んときからいい感じだとは思ってたけど~…まさかのちゃんの方が片想い?」

先生は私の机の前にしゃがんで、楽しそうに笑う。

「そ、んなんじゃ…!」

否定しようとして、一瞬どもる。

(アキラは…こい、びと…)

「いやいや~、いいんじゃないの?クラストップのやんちゃモテおバカボーイと、クラス1クールでボーイッシュ、憧れる男は多数の高嶺の花!ちゃん。良い組み合わせだなあ~」

立ち上がり、うんうんと嬉しそうに先生は目をつぶって頷く。

「だから違いますってば!」
「あら、付き合ったんじゃないの?」
「ち…」

(「誰にもウチらの関係は言わなくていい。」)

アキラの声が頭で繰り返される

「…違います。」

「あらあ、そーなの、残念。」

先生は下唇を突き出し、私のおでこを小突いた。

「ま、アスリート気質なアイツに恋してるんだったら、煙草はもう辞めなさいよ。」
「…」

先生は、私の気持ちに気付いていると思っていた。
いや、今でも気づいてるって思ってる。

(なのに、なんでそういう事言うの。)

そんなに私が面倒な生徒だったのか。



「…もう、二度と吸いません。」



自分でも驚くほど、冷たい声が出たものだから、ハッとなる。
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