第30章 冷たい
ある日思った。
自分はここに居ていいのかと。
みんな、自分とは違う。
自分より、とても優秀だ。
自分だけ、取り残されているような気がした。
耐えられなくて、私はとうとう相談した。
「ここにいていいんですか」
と。
その人はにっこり笑って、いいよ。と言った。
でも、でもね。
素直に喜べなかったんだ。
貴方は優秀な側の人間だから。
貴方はとてもやさしい人だから。
気を使ってそう言っているようにしか、思えなかったんだ。
ここにいて、喋って、自己満足に近い状態で日々を過ごし、貢献している気になる。
人並みに汗を流し、『自分も頑張っている』という満足感に浸る。
でも、やっぱりどこか、劣っている気がして。
みんなで分けるためのその水を少しだけとり、私は罪を飲み込んだ。
喉からお腹にかけて、冷たいソレはゆっくりと伝って降りていく。
いつか、『罪』じゃなくて、『仲間の印』として飲み込みたい。