• テキストサイズ

歌詞って詩って

第29章 私の望み



周りの声が、ただただ不快だった。

みんな、"言葉"を人を傷つけるための"道具"として扱い、私はその餌食となった。

声は音となり、音は騒音となった。

うるさくて、うるさくて、たまらない。
耳をふさいでも尚、ソレは私の手をこじ開け、耳をこじ開け、心に入り込み、人格すら壊そうとするのだ。

何度も何度も、私の心を壊そうと、人々は口を開く。

そんな毎日がうんざりで、
耐えられなくなったある日。

私の前に神様が現れた。

"あなたの願いを叶えましょう"

私は望んだ。静かな世界を。
とてもとても、静かな世界を。

光に包まれたと思ったその瞬間、黒い闇に包まれた。

『何故?何故?どうして神様…!』

"これがお前の望んだ世界だ!!"

神様が私にくれた世界は、真っ暗で何も無い。
騒音がない、音がない、"声"がない。

嬉しいはずなのに笑みはこぼれず、
あんなにうるさかった音がないのに耳の奥が痛んだ。

静寂に、耳の奥が傷めつけられた。

笑みの代わりに、私の目から"光"が落ちた。
/ 129ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp