第22章 いいですか?
泣きたい。
すべてが辛くなった。
生きるのが辛くなった。
暗い、暗い、ちっぽけで、誰もいない世界に取り残された。
明るい灯りは、奪われた。
ドアが開いた。
ずっと、閉ざされていたドアが開いた。
僕はびっくりして、ホッとして、崩れた。
形をとどめてくれたのは、君だ。
ドアを開け、僕の身体を崩した張本人だ。
手を迷わず握った。
離さないようにしようと心に決めた。
すがるものが何もなかったんだ。
君が僕に向かって、僕だけの言葉を話す。
それだけで、僕は幸せだった。
だけどある日。突然君はいなくなった。
いや、僕以外の人を救った。
僕の時と、同じように。
嫌だ。
嫌だよ。
僕を置いて行かないで。
また、暗い世界に取り残さないで。
…嫌だよ。
ねぇ、お願いだ。
行かないで。
行かないで。
君を離したくなくて、君を殺してしまうかもしれないから。
どうか。
どうか。行かないで。