第20章 見て、見て、見ないで。
僕を見て。
言えたらどんなにいいだろう。
いや、本当は、今すぐにでも言えるんだ。
心の底から、全力で叫べるんだ。
でも、見られたら。
見られてしまったら。
きっとあなたは僕から離れてしまうから。
見ないでほしい。
僕の、こんな醜い姿を。
僕を見て。
言えたら、どんなに楽だろう。
嫌なんだ。一人になるのが。
僕の思いを知ってほしい。
それと同時に、知らないでほしい。
きっと君は、僕を嫌うから。
こんな僕を見ないでほしい。
ありのままの僕を見ないでほしい。
精一杯、君に好かれるように作った僕だけを見てほしい。
でも辛いんだ。本当に辛いんだ。
この気持ちのやり場がほしい。
誰にも言えなくて、何にもあたれない、この気持ちを、捨てるところが。