第15章 村人A
僕は村人A。
今日もまた村に立ち、勇者を待っている。
情報だけを求めて話しかけてくる勇者を、
僕は待っている。
嫌だけど仕方ない。
お約束なんだ。これが。
どんなに優秀な村人Aになっても、所詮、肩書は「村人」。
勇者は僕に話しかけ、次の仲間の情報集め。
たとえ僕が優れていても、勇者が惹かれるのは立派な肩書。それだけだ。
僕の情報が役立ったとしても、勇者は新しい仲間と世界を救い、讃えられるは勇者のパーティ。
僕は、なんのためにいるのか。
勇者の手助け。それだけ。
ほんとは僕だって世界を救いたい。
勇者なんて、だいきらいだ。