第11章 レール
電車。
決まったレールを走る、
優秀な乗り物である。
でも、僕の乗ってる電車は少し変わってて、
乗客は僕1人。
運転手は、僕そっくりの顔。
二人共、少し怯えながら乗っている。
この電車は、一生走る電車。
一度線路を外れると、
元のレールには二度と戻れない。
新しいレールを探り当て、再び安定するか。
走るのを諦めるか。
それとも。
どんなに凸凹な道でも突き進むか。
レールを外れると、この、
3つの選択肢が与えられる。
ほとんどの人は、走るのを諦める。
そして、修理場と言うなの保管所に連れて行かれ、足掻くことを許されない。
僕も、そうだ。
僕も走るのを諦めた。
新しいレールを見つける自信なんてない。
凸凹な道を突き進む自信なんて、もっとない。
だから、諦めた。
足掻くことを許さないこの牢獄で、
僕は何を思うだろう。
後悔?孤独?希望?
わからない。
足掻くことをやめたから。
考えることを、
やめたから。