第10章 期待
暗い部屋の中で画面を見つめる
猫背の彼は、今日も自分の殻の中。
優しいママがいないから、
外に出るための勇気がない。
頼れるパパがいないから、
外に出るきっかけがない。
指の爪をかじりながら
画面を無言で見つめてる。
大きな世界を見るのが怖くて。
箱の中の小さな世界を見ることが精一杯で。
その小さな世界の中でさえ、
毎日怯えて暮らしている。
いつだろう。
彼の手を引いて、
殻から出してくれる人が現れるのは。
希望を捨て、死んだ目で暮らす彼の目に、
再び光を灯してくれる人が現れるのは。
いつか来ると、どこかで期待している彼を
救ってくれるのは。