第9章 鍵
いつからだろう。
心に、鍵をかけるようになったのは。
最初はとても丈夫な、汚れなんて1つもない心だった。
でもだんだん。
だんだん周りに傷つけられて、弱くなっていった。
弱くなっていった私の心を守るために、鍵をかけた。
1つ。
でも、あっさりとその鍵は壊されて、また傷つけられる。
守るために鍵をかける。
1つ。
1つずつ増えていった私の心の鍵は、
2つずつに増え、3つずつに増え、
いつしか、数えきれないほどの鍵が
私の心にはかかっていた。
心は鍵穴だらけで、ボロボロで。
もう、鍵をかけられないほど穴が開いてしまった。
そして私の心は壊れてしまった。
痛くて、苦しくて、誰かに助けてほしくて。
でも「助けて」って言えなくて。
じっと、痛みと苦しみに耐えていく。
きっとこの先も。ずっと。
誰も気づいてくれない。
でも、気づいて欲しくない。
こんな、穴だらけの心は見られたくない。
もういっそ、このままで…。