第7章 お面屋
やぁ、いらっしゃい。
僕はお面屋。
あ、僕自身がお面をつけてるのは気にしないで?
変かもしれないけど、癖なんだ。
ここは色んな顔を取り扱ってるよ。
悲しい顔はないよ?
みーんな、笑ってるお面だけを扱ってるんだ。
悲しい顔のお面は必要ないからね。
ねぇ、知ってる?
お面って、つけていればどんな顔をしててもバレないんだよ。
怒ってても、泣いてても、笑った顔をつけてれば、相手にはわからないんだ。
それって、とってもステキなことだと思わない?
え?僕?
僕は今、お面の下でどんな顔をしてるのかって?
ふふ…秘密だよ。
君、僕が怒ってるのか、泣いてるのか、笑ってるのか、わからないでしょ?
それがいいんだから。教えてあげない。
そうだな。
僕と、上辺だけじゃない。本当の友達になってくれるなら……
ううん。何でもない。
僕は、この方が楽みたいだ。
気にしないで。
僕はずっとお面屋をやってるから。
君は気にせず、賑やかで楽しいお祭りを過ごしてくるといいよ。