第5章 もう、でも、どうか
暗闇の中でずっと待ってた。
誰かがきっと手を差し伸べてくれると。
でも違った。
いつまで待っても来やしない。
バカバカしいと 一言、言って
ある日僕は
「泣くのをやめました」
泣いてたって誰も来ない。
氷のようなこの世界。
動かなければ死ぬ運命。
ならば進もう、この足で。
海の中でずっと待ってた。
誰かがきっと明かりをくれると。
でも違った。
いつまで待っても来やしない。
アホらしいなと 一言、言って
ある日僕は
「振り向くのをやめました」
振り向いたって誰も来ない。
迷路のようなこの世界。
振り向いていれば死ぬ運命。
前に進もう、振り向かず。
森の中でずっと待ってた。
誰かがきっと道を開いてくれると。
でも違った。
いつまで待っても来やしない。
ならもういいと 一言、言って
ある日僕は
「頼るのをやめました」
僕に差し伸べてくれる手も、
優しく包む光も、
何一つないんだ。
なら、
バカバカしいって、アホらしいって、
笑うしかないじゃん。
頼りたくても誰もいない。
こんな世界大嫌いだ!
嘆いていたら死ぬ運命。
ならば…
…でも
少しくらいいいだろ
どうか
優しい両手を…僕に…
どうか…