第15章 ライブ再び
潤「行くぞ東京―!!」
いつも通り、あいさつから大盛り上がりだ。
ソロもMCもみんな盛りあがった。
MCが終わり、何曲かやった後
翔「さて、まだまだいい盛り上がりですねー!
一回、おかけになってください」
潤「あ。MCじゃないぞー(笑)」
翔「これから、ある少女のことをお話ししようと思います。
たった16歳の若さにして亡くなった子の話です。」
相「今日は命日ということもあり、お話しさせていただく
ことにしました。」
翔「僕たちと彼女が出会ったのは、偶然の出来事でした」
智「みんなと同じ、僕たちのことを大好きでいてくれる
ファンの中学2年生。雑誌を買って、ライブに来て、
グッツを買って。」
二「ただ一つだけ違うのは両親を中1で亡くし、
一人暮らしをしていること」
翔「そのことをきいた僕たちは、彼女を放っておけなくなり
一緒に暮らすことに決めました。」
潤「語りつくせないほどのたくさんの思い出ができました。
去年のライブにも来てくれました。
そして、ピアニストになって僕達と共演するという
夢を追い、中学卒業後にドイツへ行きました。」
相「僕たちのために精一杯になって、無茶をしてしまう
ほどでした。」
二「そして、ついに帰国の日が来ました。」
翔「でも、その帰りの飛行機で彼女は帰らぬ人と
なりました。」
既に俺を含む、メンバーは泣き始めている。
前で半泣きしている美羽ちゃん、他の子からもすすり泣きの声が聞こえる。
智「彼女は最期に、最後の力を振り絞って、
『みんなと出会えてよかった。』と言ってくれました。」
翔「正直、はじめはすごくショックでした。
そして、ドイツに行くなんてことがなければ
一緒にいられたのではと後悔しました。」
潤「でも、後悔しても仕方がない。悲しんでいたら
向こうも辛くなってしまうと思い、再び僕たちは
歩きはじめました。」
相「今日は、彼女と演奏した、最初で最後になって
しまった『果てない空』をピアノの録音と一緒に
歌います。」
二「それでは聞いてください。果てない空。」